厚生労働省によると、平成27年中の生活保護の不正受給は43,938件、その不正受給総額は約170億円に上ります。一体どんな事件が起きているのでしょうか。今回は、生活保護の社会問題や事件、実態について解説します。
生活保護の社会問題について
課税調査から発覚 5年間で618万円の不正受給
こちらは刑事事件です。2017年10月31日、鹿児島南署は、生活保護費をだまし取った詐欺容疑で、鹿児島市小松原の派遣作業員(58)を逮捕しました。逮捕容疑は、平成22年10月から27年7月までの間、鹿児島市の担当窓口で収入を少なく申告するなどして、58回にわたり計618万円の生活保護費を詐取したものです。この事件が発覚した経緯は、詳細は不明ですが、市の課税調査で疑いが浮上したことによるそうです。
生活保護受給者を狙った貧困ビジネス
生活保護受給者を狙った貧困ビジネスも社会問題です。これは、企業が、自ら運営する生活施設に生活保護受給者を入所させ、彼らの保護費のほとんどを徴収することを生業にするビジネスです。表向きは慈善事業を装っていますが、その実態は、生活保護費を半強制的に搾取することで、彼らが貧困生活から抜けだす機会を奪い、結果的に施設に閉じ込めてしまうシステムになっています。
生活保護の引き下げも
近年の生活保護費の引下げは、2013年から2015年にかけて、生活扶助が実質平均で約6.5%分引下げられた時です。物価下落などが原因の引き下げでした。そして、今もさらなる生活保護受給額の引き下げの検討は続いています。現在引下げが検討されているのは、子どもの教育に関する費用や医療費の自己負担額についてなどです。