最低限の生活費を援助して貰える生活保護。それなら働いたり年金で暮らすよりも良いのでは?そんな疑問を解決するために、それぞれの収入を比較してみました。

生活保護と地方の賃金を比べると

平成28年賃金構造基本統計調査による賃金の推移では、賃金は、男女計304.0千円(年齢42.2歳、勤続11.9年)、男性335.2千円(年齢43.0歳、勤続13.3年)、女性244.6千円(年齢40.7歳、勤続9.3年)となっています。

地方の賃金はもっと安い

さて、これを都道府県別でみると、一番低いのは、宮崎県(234.6千円)次いで、岩手(235.9千円)、沖縄県(236.3千円)でした。年齢が若い世代であれば、賃金はこの額をさらに下回るでしょう。

地方の生活保護費はいくら?

生活保護費は、その地域の物価や賃金の額で1~3等級に分けられ、その等級地に応じて受給額が決定します。物価や賃金が安い地方は3等級地です。地方の生活保護の場合、単身世帯での生活扶助と住宅扶助(いずれも3等級地)はこのような額になります。

生活扶助住宅扶助合計
20~40歳64,0308,00072,030
41~59歳64,7808,00072,780
60~69歳64,4808,00072,480

こちらは住宅扶助を基準額のみで計算しています。もし、特別基準額が適用されれば、さらにプラス30,000円~40,000円ほどが支給されますので、その場合は大体10万円の受給が見込めます。また、生活保護では、医療費や税金がかからないこと、臨時的な出費への対応もあることから、生活水準は、月収12万~13万円と同じくらいになるでしょう。生活保護が労働賃金を上回るケースは、それほど多くはないと考えられます。

年金と生活保護を比べると

年金はいくらもらえる?

平成27年度厚生年金保険・国民年金事業の概況によると、厚生年金保険受給者の平均年金月額は、平成27年度末現在で、14万8千円となっています。国民年金受給者の老齢年金の平均年金月額は、平成27年度末現在で5万5千円です。ちなみに、国民年金の場合、現在の保険料でもらえる最高額は、月額65,008円です。

国民年金だけなら生活保護の方が高い

こちらは65歳の単身世帯、住所は3等級地の場合の支給額です。

高齢者単身 65歳
生活扶助64,48064,480
住宅扶助8,00029,000
合計72,48093,480

①は、住宅扶助が基準額だった場合で、受給額は7万1,780円です。②は、3等級地のうち、住宅扶助の特別基準額が最も低い富山県の29,000円を適用した場合で、受給額は9万2,780円になります。いずれも、国民年金の5万5千円を上回ることから、国民年金だけなら、生活保護の方が高いのです。

結局は働いて厚生年金を受け取ることが望ましい

ただ、老後の安泰を考えるなら、生活保護受給額では足りません。やはり、若いうちに働いて厚生年金保険料を納めた上で、プラス私的年金などを蓄えておくことが一番です。